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霞流一の、刊行書籍(単行本)をご紹介します。
【最新刊】パズラクション
(2018年・原書房)
必殺仕掛人+シャーロック=シン本格?!
さかさまの死体、飛翔するターゲット、
そして二つの密室・・・・・・
この物語は
「謀り屋」ホームズと「殺し屋」ワトスンによる
仕掛けづくしの多層推理アドベンチャー
あるいは、逆本格ミステリ
あるいは、転倒叙探偵小説
あるいは、メイクパズラー
そして、殺しと謎と論理のキルージョン(KILL ILLUSION)!
「2019本格ミステリ・ベスト10」第3位
第19回「本格ミステリ大賞」ノミネート
死写室 映画探偵・紅門福助の事件簿
(2008年・新潮社/2018年・講談社ノベルス)
映画の撮影現場で、試写室で、映画館で続発する不可能犯罪。
巨塔の消失、足跡の無い殺人、切断された首、透明人間の死、密室殺人etc
容疑者は監督、スタッフ、俳優、プロデューサー・・・いずれも映画の「魔」に取り憑かれた者ばかり。
映画探偵・紅門福助(くれないもん・ふくすけ)の大胆な推理が冴える!
映画への愛情と本格ミステリへの情熱がスパークした「映画ミステリ」の快作短編8篇を収録。
「霧の巨塔」「首切り監督」「スタント・バイ・ミー」「血を吸うマント」「届けられた棺」「死写室」「ライオン奉行の正月興行」「モンタージュ」
本作品は映画テーマの本格ミステリの隠れた短編集として高い評価を受け、
加筆修正を施した完全版として、
新潮社から講談社に版元を移し、10年ぶりの復刊となった。
[出版]平成30年12月 講談社ノベルス
独捜! 警視庁愉快犯対策ファイル(2016年・講談社ノベルス)
「愉快犯 でも事件は不愉快!?
独立捜査研究室のおしゃべり&熱血コンビが奔る!」
(帯コピーより)
自転車の車輪がベンチに、バケツがジャングルジムに、なぜか繋がれている? ロープやチェーンを用いて、脈略ない組み合わせで物を繋げる異様な悪戯が都内各所で次々と発生。
独立捜査研究室・通称「独捜』で愉快犯を担当する異色刑事、光弓真奈と桐井明久は、その悪戯がデザイン工房で起きた奇妙な密室殺人に繋がっていることを突き止める。
おしゃべり刑事・光弓と熱血刑事・桐井が軽妙な掛け合いと絶妙な推理で真相に迫る!
ユーモア本格ミステリーの快作!!
フライプレイ! 監棺館殺人事件
(2014年・原書房)
「『探偵スルース』+『熱海殺人事件』に鬼才が挑む!」
(帯コピーより)
目前に横たわる女。それを見下ろす銅像のようなふたり。
「さて、この死体をどうする?」
「どうせなら本格ミステリ作家の名にふさわしい殺人にするべきでしょ!」
切羽詰まった売れない作家と編集者による「禁じ手」に、四人の探偵たちが全知全能を競い合う!
連打されるドンデン返しの果てに怒涛の結末が待ち受ける!
罠と推理のアンサンブル! ザッツ・名探偵メント!
「2015本格ミステリ・ベスト10」第15位
第15回「本格ミステリ大賞」ノミネート
奇動捜査 ウルフォース
(2013・祥伝社NONノベル)
「史上最厄の相棒 掟破りの大捜査線!
伝説の演歌歌手関係者の奇怪な連続殺人。
本格ミステリ界の異才が贈る超警察小説登場!」
(帯コピーより)
その死体は、定規、マイク、さらにフォークとナイフで飾られていた・・・。伝説の演歌歌手月我峰貴雄を讃える記念館スタッフが殺された。現場のマンション六階の外壁に残る足跡。過去の自殺と心中。近隣に出現した、リコーダーをくわえた髑髏と火星地表の人面岩のオブジェ。夜空に消えた金髪女性と走る仏像。そして次なる殺人。ひと癖もふた癖もありそうな関係者周辺で続く怪事件・・・・・・。追うのは機動捜査隊の最厄コンビ木羽と花倉。特殊装備満載の覆面パトカーで不眠不休の狩りが始まる!
落日のコンドル
(2013・早川書房)
「空中殺法の謎を解け!
驚愕トリックと超絶ドンデン返しのパズル・ロワイヤル
そして誰もいなくなるのか?
巨大クルーズ船で繰り広げられる殺し屋たちの本格ミステリ刃法帖」
(帯コピーより)
プロの暗殺者[影ジェント]瀬見塚は豪華客船のオーナーを暗殺するため洋上の船に潜入した。船員はみな薬物で眠らせたはずだったが、なぜか暗殺チームの一人が殺される。しかも船は自動操縦で数時間後に座礁の危機。暗殺任務に加え、どこからともなく飛来したコンドル三兄弟の襲撃をかわし、仲間殺しの犯人を見つけなければならない。敵味方入り乱れて推理が交錯し、本格パズル・ロワイヤルの幕が開く!
「2014本格ミステリ・ベスト10」第12位
スパイダーZ
(2011年・講談社ノベルス)
「これは本格ミステリーへの挑戦状か?
警察小説は、いま未体験Z(ゾーン)へ。
空前絶後の熱血刑事が起、連続猟奇殺人事件に起つ!!」
(帯コピーより)
東京で発生した美容整形クリニック院長惨殺事件。被害者は体中に傷を刻まれ、全裸で吊るされていた――。謎多き犯行に困惑する捜査員たちの中で、ただ一人、若手刑事の唐雲蓮斗だけは事件解決への覇気をたぎらせる。さらに密室殺人や死体アートなど、不可解な猟奇事件の迷宮へと連鎖するなか、本庁の敏腕女性刑事とコンビを組んだ唐雲は、独自で極秘裏に捜査を展開していくが・・・・・・!?
災転(サイコロ)
(2010年・角川ホラー文庫)
「サイコロころころ・・・死体ごろごろ・・・
墓石デザイナーと美人巫女が、呪われた猟奇殺人の謎に迫る超常のインモラル・ホラー!」
(帯コピーより)
金融会社社長の墓が、ありえない形で折れ曲がっていた。
墓作りを生業とする碑工師の飛崎漂二は、その責を問われて調査に乗り出すが、次々と奇怪な現象と殺人がおこる。
身体の内側から刺された傷、内臓に巣食う魔物、降ってきた死体、隙間なく生えてくる顔・・・。焼死した非業の女が残した「サイコロ」の謎とは? 呪詛の存在を感じた飛崎は、美人巫女で、霊力の研究者でもある九能空美と共に、連続殺人の謎を暴いていく!! 怒涛の、奇想天外ホラー・ミステリ。
ロング・ドッグ・バイ
(2009年・理論社/2012年・PHP文庫)
「ワンダフルな犬たちの活躍に大興奮!!
町をおびやかす奇妙な事件は、
犬にしか気付けない『不可能犯罪』だった」
(帯コピーより)
俺は雑種犬のアロー。幼い柴犬・ポンタから依頼を受け、公園に突如出現したゴボウの謎を調査するはめになったが、そこに待ち受けていたのは、不気味な幽霊犬の噂と深まる謎だった。その矢先、またしても奇怪な事件が起きた・・・。
犬の鋭い嗅覚と観察眼をもってしか気付けない「不可能犯罪」を解明するために、リードから解き放たれたプロフェッショナルな犬たちが結集。深夜の街を疾走し、ミッション・ワンポッシブルに挑む! 世界初の本格ドギー・ハードボイルド!
夕陽はかえる
(2007年・早川書房)
「不可能犯罪×非情活劇×謀略
(ロックトルーム×タランティーノ×エスピオナージュ)
殺し屋が繰り広げる殺し合いの修羅場で殺人事件。
殺し屋の探偵が、殺し屋殺しの謎を巡り、殺し屋の容疑者を追及!
任侠推理か、マカロニ本格、それともパズル・ノワール!
こんなミステリを待っていた!」
(帯コピーより)
裏社会には、殺し屋たちが特異なルールのもとに活動する闇の世界が存在していた。そこは、密かなビジネスのシステムが築かれ、影業社会と呼ばれている。殺し屋を「影ジェント」、仕事を統括する本部を「影ジェンシー」というふうに、さまざまな隠語があり、また、殺しをサポートする職種も多岐にわたる。
カエルというニックネームのベテラン「影ジェント」が殺された。死体はビルの五階のレリーフに突き刺さっている。そこには屋上からも窓からも近づくことが不可能。一種の密室状況であった。同じく「影ジェント」の瀬見塚は、カエルの遺族の依頼で事件の真相を追い始める。そんな瀬見塚もまた命を狙われる。カエルの残した仕事を奪取しようとする「影ジェント」たちの仕業である。さまざまな手口や武器を駆使して、彼らは、異常じみた決闘を繰り広げる。壮絶なバトルは「東京戦争(トーキョウォーズ)」と呼ばれるほどの規模に発展していく。
そんな殺伐とした混乱の状況下、第二の事件が発生。「影ジェント」の死体が密室殺人の状況で発見される・・・。果たして、殺し屋による殺し屋殺しと推理の行方は?
決闘、秘密兵器、密室、ロジック、陰謀などのギミックが鮮血の闇鍋のごとく沸騰する。
背徳のSin本格誕生!
「2008年版・このミステリーがすごい!」第9位
「2008本格ミステリ・ベスト10」第8位
プラットホームに吠える
(2006年・光文社カッパノベルス/2009年・光文社文庫)
「まったく新しい鉄道ミステリの出現。」
巧緻を極めた本格推理。
(帯コピーより)
「執念とでも呼ぶべき熱意で、目次を含め、狛犬を作品に盛り込んでいるのである。その結果として、狛犬を補助線としてすべての謎が次々と解かれるというクライマックスの演出が実現可能となるのだが、いやはやその様は実に圧巻。」
(村上貴史氏/[月刊ジェイ・ノベル]2006年10月号)
「神は細部に宿るのだ。」
([深]氏/読売新聞・2006年9月24日)
[徹頭徹尾、本格ミステリーにこだわり続けた著者が、とんでもない境地にたどりついた。]
警察内部の広報誌を編集しているアキラが、ライターで元捜査一課警部の祖父・ヒタロー爺とともに遭遇した、奇妙な墜落死事件。
事件の背後には、被害者・鈴鹿咲江の悪評と、その姉の非業の死、そして、狛犬にまつわる謎が浮かんでくるのだった・・・。
上りと下りの列車がともに停車した二分間、その時、プラットホームでは何が起こっていたのか?
鉄道ミステリーと密室殺人、不可思議と不可能の化学反応、そして狛犬に秘められたパズラーの真相とは? 巧緻と機知に富んだ、驚異の本格推理小説!
[出版] 平成18年7月21日 光文社・カッパノベルス
サル知恵の輪
(2005年・アクセスパブリッシング)
「殺しのパズルはターボ猿人! 超絶のトリックと論理が進化する、本格ミステリの霊長!遂に登場」
(帯コピーより)
私立探偵、紅門福助の事務所へ着くなり倒れた男は、何者かに左脇腹を刺されていた。「ちい、たのむ」という言葉と柴犬を残して息絶える。
男がターザンの腰ミノのようなパンツを履いていたことと、鉄板を彫ったデザインのペンダントを付け、腕に火傷痕があったことから、俺と柴犬のチー太は、男の身元がお好み焼き屋「ジャングル」のオーナーだったことを突き止める。ちなみに、店員たちが身に着けているのはターザン調パンツのみ。
オーナー殺しの原因を探っていくうちに、この町がお好み焼きを含む6軒の鉄板焼きの店が中心となって、「鉄板」で町興しを仕掛けていることを知る。やがて、関わる人間が次々と殺されてゆく。死体の目・耳・口に「見ざる聞かざる言わざる」の装飾を施した「猿」を暗示させるやり方で・・・・・・。
古来、猿は山中を疾走する姿から神の使いと言われて来た。この犯人が猿に固執する理由とは何か? そして最後のどんでん返しに乞うご期待!
羊の秘
(2005年・祥伝社NONノベル/2010年・祥伝社文庫)
「目ン玉飛び出る超絶トリック(ディクソン・カーの間合いと、大阪圭吉の太刀筋)+見立て尽くしのディープな裏ネタ+ 最強フィニッシュ技"消去法の美学"ーーー
永遠の男子中学生スピリットが本格ミステリに求める熱いロマンと妄想のすべてを具現化した秘宝館、それがツ! 霞ワアァルドだツ!!」
(法月綸太郎氏 帯コピーより)
ミイラのように全身を覆う白い紙、口には矢印形の金属棒。現場を見下ろすのは、1時、2時、3時を指す3つの古時計。武蔵野の土蔵で絞殺された通訳の男は「夢の表現サークル」の一員だった。
事件を追う古道具屋の露沢邦彦は、会員の少女が直前に、謎の「羊頭男の写真」を残して自殺したことを知る。その後、事件の周辺で続々と発見される「羊」を示す暗号と殺人は一体どんな関係があるというのか? 謎の写真を調査するにしたがい、おとなたちの暗い性の犠牲になった美しい少年の忌まわしい過去と、少年がいじめに耐えながら育んだ少女への切ない愛が浮き彫りにされてくる。
ビルから消失した人間が一キロ離れた公園で死体となる遠距離密室、ガラス張りの密室で炎上する死体、夜空に響く戦時中の亡霊飛行機の爆音、怪奇羊男、呪いの枕、緻密な論理的推理etc、渾身のミステリネタてんこ盛り!!!
浪人街外伝
(2004年・宝島文庫)
映画「浪人街」(昭和3年上映)の脚本(山上伊太郎・作)を下敷きにした同名の舞台戯曲(マキノノゾミ・作)が平成16年5月、東京、青山劇場にて上演された。
舞台は唐沢寿明、松たか子、中村師童という現代を代表する俳優が総出演。主題歌を坂本龍一、衣装をワダエミ、演出を山田和也と蒼々たる面々が担当し大変 な話題作となった。
その中に登場するキャラクターを使って、霞流一と杉江松恋のふたりの作家が自由自在に「外伝」を1本ずつ書き上げた。霞の外伝は、「お新捕者控 幻夏逆蛇蔵(げんかさかじゃくら)」
退廃した江戸末期、しょぼい街の居酒屋「いろは」で働くイイ女、お新の正体は女スリ。彼女が思いを寄せる浪人は荒牧源内。これが絵に描いたようなヒドい男で、お新がせっせと貢いだ金で呑んだり遊んだり。気の強いお新がののしってもどこ吹く風である。さて、外伝では、お新の幼なじみの兄が、札差「近江屋」の土蔵で起きた密室殺人事件に巻き込まれた上、源内に嫌疑がかかったことからお新が事件の調査、解明に立ち上がる筋書になっている。
殺された被害者は逆さ磔にされ、腹を割かれ首が切断されていた。その頃、江戸では野良犬やウサギ、キツネが腹を裂かれて首を切られた猟奇事件が連続して起こっていた。
事件とのつながり、密室の謎が解けた時、おぞましい人間の性が隠されていたことが解る。
ウサギの乱
(2004年・講談社ノベルス)
「誰も思いつかなかった不可能犯罪!
いまだかつてない不可思議犯罪!」
(帯コピーより)
芸能の神様と信奉されている天宇受売命(あめのうずめのみこと)を祀る神社で、ウサギの骨が大量に出土した。偶然、写真集のヒット祈願に訪れていたタレントの羽条ルナがウサギの骨を拾ったことを公言し、彼女がブレイクすると、神社はにわかに若者であふれかえった。
その2年後、宮司の変死を皮切りに、公園のウサギの石像が燃やされるなど、怪事件が続発する。そして、ルナを追っかけていた芸能記者の串刺し死体が発見された。しかも、密室殺人の状況で・・・?! さらに、ルナがラジオで月に住むエイリアンの陰謀の話をすると、ファンクラブ・サイトの掲示板に「月について語るな」と書き込みがされ、またグロテスクなウサギの変形の写真が送られてくる。すべての事件は「ウサギ」と「月(ルナ)」に結びついているようだ。犯人の執拗なこだわりの狙いは何か? やがてウサギの骨が埋められていた神社から、ルナの事務所の芸能部長の惨殺死体が発見された・・・・・・。
この怪事件の解明に挑むのは、元俳優の大物議員・駄柄善悟と警視庁警部・倉吉高史の迷コンビ。冗談スレスレの凄絶なトリックが心臓近くのストライクゾーンに決まる!!
「2005本格ミステリ・ベスト10」第20位
おさかな棺
(2003年・角川文庫)
「本格ミステリ踊り食い! 四季折々、魚まみれの驚愕トリック四連発!!」
(帯コピーより)
本作は、鯛、うなぎ、サンマ、アンコウと四季折々の旬の魚を題材に、4本の本格ミステリが味わえる仕立て。そしてラスト、全編が一本の線につながる或る仕掛けとなっている。
捜査を依頼されるのは、紅門福助。第一話「春/顔面神経痛の鯛」では、依頼人の別れた夫が、セーラー服を来たまま車に轢かれたという。紅門は調査の過程で予備校の理事に話を聞くが、その夜、理事は死体で発見される。最後に生きた彼を目撃した警備員の話では、彼の顔は顔面神経痛のようにゆがんでいたという。そして、柱に突き刺されていたのは、鯛の骨に見立てた3本のフォーク・・・・・・、謎が謎を呼ぶ! 魚を食べると頭がよくなると歌われていますが、本書も同じ効能があります、たぶん。
火の鶏
(2003年・角川春樹事務所)
「神の使いか、悪魔の化身か? 『鶏』をめぐる不可思議殺人!」
(帯コピーより)
奇蹟鑑定人シリーズ第三弾。魚間岳士と天倉真喜郎は、火を吹いて飛ぶ鶏という人を食ったような珍妙な目撃談を皮切りに、トリ尽くしの殺人事件に遭遇する。密室で発見された死体の周辺を埋め尽くす無数の白い羽と傍らに置かれた7つの卵。
さらに2つ目、3つ目の事件が待ち受ける。どれも、有機農法の野菜と自然食品を販売する「野ッパライ屋」のメンバーが関わっていた。太古の、灯りがまだ発達していなかった時代には、鶏は朝を呼ぶ神の使いと信じられていたが、さて、この連続殺人事件にからむ鶏の意味は?
「見えない人」テーマに挑んだ密室トリックが圧巻!
呪い亀
(2003年・原書房)
「亀はのろい、呪いは怖い、怖いは見立てでどんでん返し」
(帯コピーより)
迷走と妄想の私立探偵、紅門福助は、新規オープンを間近に控えた映画館のオーナーから彼の周囲で相次ぐ不吉な事件をオープン前に速やかに解決するよう依頼された。ところが、彼が現地に到着するのを待っていたかのように起こる、連続殺人事件。亀の甲羅にまたがった死体をはじめ、繰り返されるカメの見立て。さらに夜の町を疾走する老人や、ありえない人間消失と謎が謎をよぶ。そして、すべての謎がカメのごとく、最後にひっくり返される・・・。
亀の密室、亀の見立て、亀のロジック、亀の変装など全編が亀の意匠で統一され何やら縁起のよいミステリ。亀のようにのろいはずの老人がスピーディーに疾走する謎も健康によさそうで、まるでスッポンのエキス入り。一見ふざけた仕立てながらも、実は甲羅の如きハード本格なのだ!
デッド・ロブスター
(2002年・角川書店)
「本格ミステリの最「笑」傑作!!
本格度 150%、おバカ度202%増量(当社比)のノンストップ・ギャグ本格!!」
(帯コピーより)
迷走と妄想の私立探偵、紅門福助は、劇団「建光新団」宛に送られて来た恵比寿様の彫像の謎ときを依頼された。送り主は2週間前にすっぱだかで溺死した劇団員。
やがて発見される、逆エビ固めをかけられたごとく、背骨がへし折れていた死体、さらに続発する不可能殺人事件。捜査が進むうちに浮かび上がるのは、死んだ劇団員にまつわる奇妙な性癖であった。「エビの会」と符牒で呼ばれている同好会に捜査がたどり着いた時に、とてつもない事件の概要が明らかになり始めた・・・。
「2003年版・このミステリーがすごい!」第12位。
首断ち六地蔵
(2002年・光文社カッパノベルス/2005年・光文社文庫)
「地蔵の首のあるところ怪事件あり。[本格]魂が弾ける!」
(帯コピーより)
豪凡寺で六地蔵の首が切り落とされていたという報せを受けた奇蹟鑑定人・魚間岳士は、現場へ急行する。寺の隣にある廃墟となっている精神病院では、映画ロケが行われていた。病院内の中庭で地蔵の首の一つが発見され、その直後に、撮影のスタッフが殺害された。さらに、首が発見されるたびに奇怪な殺人事件が起こる。地蔵の首が意味するものは一体何か。 魚間は一連の事件の背後に新興宗教「浄夢の和院(じょうむのわいん)」の教祖が存在することを突き止める。
6つの事件は、仏教で言うところの六道「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天上」の見立てになっており、登場人物たちの推理の応酬は読み応えたっぷり。ミステリのトロ部分ともいえる解決編ばかりで構成された意欲作。全編にわたりおよそ三十回ものドンデン返しが展開される。
「地蔵の首が現れるたびに起きる事件は6つ。そのうち5つが密室殺人というのも過剰だが、その6事件に合計30もの謎解きが付されている(つまりそれだけどんでん返しがある)というのも過剰。延々と続く推理合戦の果てに真相を指摘するのは誰か。カルト映画監督ロジャー・コーマン作品の結末よろしく迎えられる壮大なフィナーレは圧巻。読者は座り小便ちびってバカになるなよ!((c)古今亭志ん生)」
(杉江松恋氏・「ダ・ヴィンチ」2002.10)
「まったく、こんなトンデモナイ黒幕が登場する連作長編は寡聞にして知りません。本書は、まちがいなく霞さんの代表作に数えられるでしょう」
(佳多山大地氏・新評論「RALLY」(評論家と作家による往復電子書簡による)・「メフィスト」2003.1)
「本格ミステリこれがベストだ!2003」(探偵小説研究会・編著/東京創元社)で、探偵小説研究会が選ぶ2002年本格ミステリ・ベスト10の一作に選ばれました。
「2003本格ミステリ・ベスト10」第15位
牙王城の殺劇
(2002年・富士見ミステリー文庫)
「天守閣消失!?
犯人は空飛ぶ化けワニ? UFO?
奇妙奇天烈な事件に、超常現象大好き三人組が真っ向勝負!」
(帯コピーより)
ワニの収集家である変人の財閥の元から、「コビトワニ」が行方不明になった。調査協力の依頼を受けた動物病院院長の父から命じられ、その任務を請け負うことになった高校二年生の紋太郎と仲間たち。実は彼らはUFO、心霊現象などの超常現象「フォーティアンフェノミナ」を調査する「フォート探偵団」を結成していた。コビトワニへの興味もあり、財閥の作ったワニの楽園、牙王城へと向かう。
ワニを探す彼らの前に、カゴを運ぶ甲冑姿の騎士たちや、夜更けに宙に浮かぶ謎の発光体など、不可思議な現象が勃発。数々の謎に翻弄される中、牙王城の住人の凄惨な死体が発見される。頭部がなく、首には猛獣の牙で切断されたような跡があった。これはワニの仕業なのか? コビトワニはどこへ?? 牙王城の正体は???
スティームタイガーの死走
(2001年・勁文社/2004年・角川文庫)
「機関車消失!
よみがえった幻の蒸気機関車C63が
走行中、線路上から忽然と消えた。
驚愕のトリックに気鋭が挑む書下ろし!」
(ノベルス版初版の帯コピーより)
玩具会社コハダトーイのカリスマ経営者、小羽田伝介は、幻のC63型蒸気機関車を心血注ぎ完成させ、「虎鉄」と名付ける。そして、虎鉄を本物の中央線で走らせようという企画をぶち上げた。
まさにその記念すべき日、出発地の東甲府駅で死体が発見され、走行中の「虎鉄」が乗っ取られた。犯人の要求は、金ではない。なんと、コハダトーイの社長である虎志郎たちに「強制労働」をさせるというのだ。労働の中身は、中央線の西荻窪駅と阿佐ヶ谷駅と高円寺駅のホームでキャンプファイアーをすることと、荻窪駅周辺100メートルの範囲で線路すべてをはさんで「花いちもんめ」をやることだというのだ!? 犯人の目的は何か? 鉄道オタクの刑事・カータと、相棒の鍼灸師のキラリの推理行が始まる。
物語と読書の時間経過が一致したミステリに挑戦。劇中の時間の流れと本作の読者の時間の流れを同じにするという構想に立脚した作品である。
雪の上での人間消失、走る密室、列車消失、全編に仕掛けられた壮大なトリックなど数多のギミックが炸裂し続けるノンストップ本格!!!
「2002年版・このミステリーがすごい!」第4位
「バカミステリ大賞(2001年)」受賞。
屍島
(1999年・ハルキ文庫)
奇蹟鑑定人シリーズ第二弾。
瀬戸内海の「鹿羽島」で、ミズナラの木から鹿の首が生えていたという怪情報が届く。その鹿の首は目撃者が転んだすきに消失、しかも、その直前に「ヒヒーン」という鳴き声が聞こえたらしい。島に生息すると言われる謎の生物「馬鹿」の存在を確認すべく、奇蹟鑑定人の魚間&天倉コンビは島の現場調査を開始する。
住民は意表をつく者ばかり。島の名にちなんで人工の羽をつけた鹿を連れ歩く役場の観光課課長。診療所の医師はバイオテクノロジーの研究に熱中し、羊とヤギを掛け合わせた「メリーちゃん」を飼育していたり、馬と鹿を掛け合わせた「馬鹿」を作っている張本人と噂されている。他にも、死体にしか興味のない女性カメラマン、女装の前衛舞踏家など奇人変人ぞろい。
そして、事件は起こった。イチョウの大樹のてっぺんの枝に、串刺し状態で発見された死体・・・。それを皮切りに、さらに怪死事件が続発する。
一連の猟奇的な事件の犯人は「馬鹿」なのか、それとも?? そして何のために??
ミステリ史上、もっとも「バカ」という言葉が連呼される怪作!
オクトパスキラー8号 赤と黒の殺意
(1998年・アスキー)
「死に至る芸ーーー。殺人現場に残された「蛸」(オクトパス)の意味するものとは!?」(帯コピーより)
没落寸前の寄席を舞台に、クセの強すぎる芸人たちを巻き込んで、「タコ」尽くしの怪事件が続出する!
イロハニ権兵衛の死体が蛸薬師のイチョウの木に、「タコの絵馬」8枚とともに派手にぶら下がっていた。その後、奇術師の死体がマンションの自室で発見されたが、同じマンションの住人の死体と背中合わせに座らされ両者の頭には赤い紙袋がかぶされており、二人の手足は合わせて8本、丸い頭、まるでタコの人体オブジェのように・・・。さらに続く怪奇な事件。
謎を解くのは刑事役でかつて一世を風靡した、大物タレント議員、駄柄善吾! その権力と人気の濫用ぶりに翻弄され、心身を病む床山刑事とのコンビが事件を盛り上げる。
ギャグとミステリのギミックが融合した野心作で最後の一行に強烈なサプライズ!
赤き死の炎馬
(1998・角川春樹事務所/1999・ハルキ文庫)
「密室、瞬間移動、ポルターガイスト 神秘の謎に挑む奇蹟鑑定人!」(帯コピーより)
奇蹟鑑定人シリーズ第一弾。魚間岳士と天倉真喜郎は特殊法人・寺社捜査局(JSK)の仕事を請け負っていた。
キリスト教世界ではバチカン所属の奇蹟鑑定人が存在し、不可思議な現象が果たして神の御技による「奇跡」か人為的なトリックかを調査する役割を担っている。JSKは日本の寺社組織における同様の任務機関であり、天倉たちが派遣されたのはやはりミステリアスな事件現場だった。岡山県の田舎町の旅館で、瞬間移動(テレポーテーション)としか思えぬ怪異現象が起きたという。調べて行くうちに起こる連続殺人はすべて、この町に伝わる「はぐれ平家と首のない馬」という不気味な伝説に絡んでいた。そして、なおも続発する目も眩むようなオカルト現象の数々・・・。トリックに次ぐトリックの絨毯爆撃に悶絶せよ!!
ミステリークラブ
(1998年・角川書店)
「能ある蟹はハサミを隠す。二日酔いギャグの迷彩に埋もれた悶絶キョーフのトリック地雷に気をつけろ! 危険ですから、お子さんは真似しないでください。」 (法月綸太郎氏/帯コピーより)
「この10年、新本格という新しい波が日本ミステリ界を席巻した。だがミステリの可能性を極限まで押し広げたそのムーブメントに、著しく欠落していたのが「笑い」の要素だった。
しかし今ここに霞流一がいる。怪しい人々が連射するクスグリと、スラップスティックな事件の数々。そして終章で明かされる論理的な真相! エラリー・クイーンのロジック、ジョン・ディクソン・カーのファルス、そしてカーター・ブラウンのギャグ、これら最強のスピリッツをカクテルし、江戸前落語のエッセンスを振り入れた一杯が霞流「お笑い」本格ミステリなのである。」 (西上心太氏/帯解説より)
「フォックスの死劇」に続く、紅門福助の登場。舞台は、昭和史の博物館のようなアンティークショップが軒を並べる町。コレクターたちはプレミアムグッズに血眼になり、一般人にとってはどうでもいい闘いを繰り広げていた。そんなある日起こったバラバラ殺人。完全な密室で起こった事件の背後には不審な「蟹」の影が・・・。ハサミ状の手、飛び出た大きな目玉、尖った口元、まるで改造人間のような異様なフォルムの怪人が出現したり、善福寺川を横歩きする体長3メートルの巨蟹が目撃される。不可解な事件の連続の背後には、なぜか昭和という時代の濃い匂いが充満していた・・・。
数多の超常現象と不可能犯罪がテンコ盛り。四つの論理的推理は意外な犯人とその凄絶な手口を看破する!
フォックスの死劇
(1995年・角川書店/2004年・角川文庫)
「霞流一は、本格ミステリという綱渡りをしながら、ロープ上で喜劇を演じる。ひとり<娯楽の殿堂>か!?」(有栖川有栖氏/文庫版・帯コピーより)
紅白探偵社の探偵、紅門福助は奇妙な事件の捜査を依頼される。怪談映画の巨匠、故大高誠二監督の墓が散歩したというのだ。調査が進むにつれ、大高監督に縁のあった映画人たちが殺されて行く。しかも首や腕や足が持ち去られ、殺人現場にはキツネの面、油揚げ、赤い鳥居などのお飾りが残される。頭を抱える紅門はやがて、全ての事件が大高監督の死に際の謎の言葉「ハモノハラ」から始まっていることに気づく・・・・・・。
映画会社に長年勤務した著者ならではの日本映画にまつわる数々の蘊蓄が堪能できる。
持ち去られた首、見立て殺人、墓場をうろつく死人、密室、空飛ぶ人間、トリックに論理的推理に本格のギミックが満載。
「本来異世界であるはずの映画的シナリオが現実世界へ介入して奇想天外な事件をまきおこす、サービス満点のユーモア・ミステリー。」
(巽孝之氏・「朝日新聞」夕刊/1996.1.25)
「毒の効いた会話、奇天烈な推理、新作料理もなかなかで」
(池波志乃さん・「週刊朝日」/1996.2.23)
「ミステリベスト201 日本編」(池上冬樹・編/新書館)に取り上げられました。(1975年~1997年の約20年間に発表された、優れたミステリ201作の一つに選出)。
「バカミステリ大賞(1996年)」受賞。
おなじ墓のムジナ 枕倉北商店街殺人事件
(1994年・角川ノベルス)
デビュー作。
朝の6時から人だかりのする商店街。騒ぎの主は、メインストリートの入口に置かれた信楽焼のタヌキの置物だった。160センチはあるだろうか。一体誰が何のために? その後、頼みもしないタヌキそばが10杯も書店に出前されたり、喫茶店の前に茶釜が置かれたりと、タヌキがらみの奇妙な事件が続発。そして、商店街の仲間のひとりが何者かに殺害された。第一発見者の失業中の30男・唐岸クンは、嫌疑をはらすべく事件の真相を追求し始める・・・・・・。
随所にちりばめられたお笑い、食道楽の著者の好みが炸裂した食の彩りが満載。登場人物たちがスローライフで頑固な職人が多いのは、舞台である JR中央線沿線ならでは。居酒屋ミステリともいうべきシチュエーション、また、真相へとアプローチするのが板前による安楽椅子探偵と愉快な設定。テーマは下町のエラリー・クイーン。タヌキにちなんで八つの条件を挙げて犯人を絞り込んで行くロジカルな消去法推理が圧巻である。
「第14回・横溝正史賞」佳作